会社に財務課と経理課がある企業で、仕事内容の違いについて知りたい方向けの記事です。
ちなみに、財務課という名前ではなく、経営企画課という名前の部署で財務課の業務が行われている企業も多々あります。
この記事は下の方を対象としています。
- 会社のお金を管理する仕事に興味をお持ちの方
- 財務課や経理課へ異動したい方
- 会社に財務課と経理課があるけど仕事内容の違いがはっきり説明できない方
- 管理会計と財務会計の違いを説明できない方
財務課と経理課の根本的な違いとは
一般的に、財務課と経理課の業務で根本的に違うのは、財務課は未来に向かって数字を作っていく仕事に対し、経理課は過去に起こったことを数値化する仕事であるということです。
これを知っているのと知らないとでは天と地との差がありますので、しっかりと押さえておきましょう。
財務課は今あるお金を将来に向けてどう効率よく回していくかを考えること、経理課は過去の実績から現在の会社の価値を正確に把握することを主な業務としています。
財務課の仕事(管理会計をメインとした仕事)
一般的に財務課の具体的な仕事といえば、来期予算の立案、年度末の利益着地の見込み、月次決算の中身の分析、資金計画立案などです。
これら業務は、先を見る、先を考える(会社が利益を生み出すためにどうお金を使っていくかの計画を立てる)上で必要な業務となります。
特に資金計画立案は、売掛金の回収時期や引当金(こげつき、資金回収困難)をできるだけ正確に予測し、会社が倒産しないようキャッシュ(現金)を一定量保持し続けることを目的とした重要な業務です。
売掛金の入金遅れが発生し、自社のキャッシュがマイナスになり、最悪倒産というようなシナリオを回避するための重要な仕事になります。
このように、財務課は未来に向けて数字を作るといった業務を担当することになります。
また、未来に向かってお金を管理する仕事を、管理会計と呼んだりします。
経理課の仕事(財務会計をメインとした仕事)
一般的に経理課の具体的な仕事といえば、決算、財務諸表(B/S、P/L、CF)の作成、監査法人の対応、各種税金(法人税、住民税、など)の計算・把握・納付などです。これら業務は、ルールに基づく仕事で、過去に起こったことを数値化する仕事となります。
今現時点で会社がどういう経営状態であるかを把握するという重要な業務となります。
このように、経理課はルールに基づいて起こったことを数値化するといった仕事を担当します。
また、現在の経営状態を正確に把握する仕事を、財務会計と呼んだりします。簿記も財務会計の一部です。
財務課・経理課で求められる人材像
このように財務課と経理課では、未来と過去の数値を扱うといった点で業務内容は異なりますが、共通して言えることがあります。
それは、単に数字をはじき出して終わりではなく、どうしてそういう結果になったのかを深堀りして考えることのできる能力が必要ということです。
ここでは洞察力と呼ぶことにしますが、会社がどのように利益を生み出してきたかを鋭い洞察力で感知し、会社のどのような戦略・行動がどのくらいの利益を生み出し、次はどう行動するかを考えきれる能力を持った人材が、財務課や経理課には必要ということは共通して言えます。
実はAI化しやすい分野でもある
意外かもしれませんが、財務課、経理課は意外とAIやシステムに仕事をさせやすい分野でもあります。したがって、会社の数字に疎い方でも、システムに強ければ財務課や経理課でシステム保守関係の業務ができてしまうことも多々あります。
システム関連の経験は、どの分野でも必要とされてくるスキルですので、できるだけ若いうちに多くの経験を積んでおきましょう。何もないところから、いかに使い勝手の良いシステムを構築できるかは、各個人のシステムスキルに大きく依存しますので、力の見せ所ともいえます。
また、財務諸表の数字の基になるのは、現場(製造部、品質管理部)での数値入力です。そのため、現場へ問い合わせることが結構な頻度で発生します。
スムーズに必要な情報を吸い上げるためにも、コミュニケーション能力、交渉力、相手への聞き方などの能力は、洞察力に加えて必要なスキルとなっています。
まとめ
いかがだったでしょうか。財務課と経理課の仕事内容の違いは把握できたでしょうか。
財務課は未来へ向かって数字をつくる仕事(管理会計)、経理課は過去に起こったことを正確に数値化する仕事(財務会計)でした。
仕事内容の差はあれど、この両者の課に共通して言えることは、鋭い洞察力(どうしてそういう結果になったのかを考えきれる能力)、コミュニケーション能力、交渉力、相手への聞き方能力を持った人材が求められているということです。
財務課や経理課へ異動したいと思ている方は、ぜひ、これらの能力を身に着けておきましょう。